医療の質

はじめに

 QIとは、Quolity Indicater(質の指標)とQuolity Improvement(質の向上)という意味があります。自分たちの提供している医療の質がどのようなものか指標として数値で表し、向上して行くための改善活動を行い、さらに質をあげていくことを目指しています。
 当院の所属している全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は、2010年から「医療の質の向上・公開推進事業http://www.min-iren.gr.jp/hokoku/hokoku.html」を開始しました。当院でも2012年4月からこの取り組みに参加しています。
 6年間の指標の一部を掲載しました。

病院の動向

・2012年 一般病棟 111床
・2013年4月 新病院全館完成 一般病棟135床
回復期リハビリテーション病棟42床
・2014年4月 緩和ケア病棟25床 一般病棟92床
回復期リハビリテーション病棟42床
・2017年4月 電子カルテ更新
・2018年6月 地域包括ケア病棟45床 一般病棟47床
回復期リハビリテーション病棟42床
緩和ケア病棟25床
・2024年5月 地域包括ケア病棟92床
回復期リハビリテーション病棟42床
緩和ケア病棟25床

評価項目

グラフの中の「中央値」は、全日本民医連の事業に参加している施設の2023年のデータの平均を参考値として掲載しています。

指標5:褥瘡新規発生率

【意義】
・褥瘡予防対策は、提供されるべき医療の重要な項目であり、栄養管理、ケアの質評価にかかわる指標。
・褥瘡アセスメント、予防アプローチの組織化の促進。

分母:調査月の新入院患者数+前月最終日在院患者数(24時現在)
分子:入院後に新規に発生した褥創の数(別部位は1として計測)

2020年からd2(真皮までの損傷)以降のみの指標となったため、d2以降のみの発生率へ変更しました。褥瘡委員会で、毎月入院患者さんの状況を確認しています。体位交換枕や、エアマットの導入を行い褥瘡発生リスクを下げる対応をしています。

指標6:転倒転落発生率

【意義】
転倒・転落を予防し、外傷を軽減するための指標。特に、治療が必要な患者を把握していく。

分母:入院患者延数
分子:入院患者の転倒・転落件数

転倒率は、大きく変化はありません。入院患者の高齢化の影響も考えられます。レベル3以上が増えたため、重症患者を減らす事を医療安全委員会の目標としました。

指標7:病棟における薬剤関連事故事象発生率

【意義】
薬品安全管理者・薬剤師の病棟での役割のアウトカムとして

分母:入院患者延べ数
分子:薬剤投与間違い、注射間違い

2017年の電子カルテ変更により、認証システムの効果が継続されています。

指標10:注射およびそれに準ずる鋭利な器具による皮膚の損傷からの血液暴露事例件数

【意義】
他施設の状況を知り比較することで、職員のリスク意識を高め、安全管理をすすめる。
注射針およびそれに準ずる鋭利な器具による皮膚の損傷からの血液暴露事例件数

鋭利なものからの血液暴露は、時々発生しています。インシュリンの注射による針刺しが多くみられました。

指標18:リハビリテーション実施率

【意義】
廃用症候群や合併症を予防・改善し、早期社会復帰につなげる

分母:退院患者数 - 在院日数3日以内の退院患者数
分子:リハビリテーション(PT、OT、STいずれか)を実施した退院患者(在院日数3日以内は除く)

回復期リハビリ病棟のリハビリを中心に行う体制へ変えました。2022年はコロナの病棟でのクラスターや、職員の罹患により大きく影響しました。

指標23:ケアカンファレンス実施割合

【意義】
この指標はカンファレンスの実施ではなく、カンファレンス記録を評価する。記録を残すことによりチームでの情報共有が促進され、プロセス・アウトカムを評価することが可能となります。

分母:退院患者数
分子:調査月退院患者のうち、入院期間中に1回以上医師・看護師・コメディカルによるカンファレンス記録のある患者

全国と比較して実施割合は高めとなっています。内容は、多職種カンファレンスとして退院支援や方針決定のケア計画などを行っています。

指標49:救急車受け入れ割合

【意義】
救急車受け入れ割合は、救急隊からの搬送の要請に対して、どれだけの救急車の受け入れが出来たかを示す指標で、各病院の救急診療を評価する指標となる。地域への貢献を示す指標にもなる。

分母:救急車要請数
分子:救急車受け入れ数

救急車の受け入れ割合は年々減少しています。特に夜間・休日でのお断りが増えています。コロナ禍以降、要請数が増え、受入割合は減少しました。

分母:救急車要請数
分子:分母のうち入院数